省エネ住宅・ZEH住宅とエネルギー消費の少なくて済む家を建てる、ハウスメーカーや工務店が増えて来ています。同じように、断熱性が高くて光熱費が抑えられますと言っているハウスメーカーでも、樹脂サッシをオススメする会社と、アルミ樹脂複合サッシをススメル会社があったりします。
実際のところ、樹脂サッシとアルミ樹脂複合サッシってどっちが良いの!?
を考えてみたいと思います。今回は、樹脂サッシの代表格YKKAP社「APW330」とハイブリッドサッシ(アルミ樹脂複合サッシ)LIXIL社「サーモスX」で確認したいと思います。
※LIXIL社では、アルミ樹脂複合サッシをハイブリッドサッシと記載しています
窓の役割
まずは、当たり前ですが、窓の役割や求められる性能についてです。
- 光・風を家の中に、取り入れる(採光・採風)
- 出入り口
- 外の景色をみる
- 暑さ・寒さを和らげる(断熱)
- 外部からの侵入を防ぐ(防犯)
- 雨・風・台風から家を守る(防災)
- 結露しにくい
- 掃除しやすい
- 長持ちする
1〜3は、外部から家の中に入れたいもの!
2〜6は、中に入れたくないもの!
7〜9はメンテナンス性と言ったところでしょうか。
これは、「中にいれる」「でも入れたくない」と言った、相反する性能を持たせることになるため、窓の選定はとても難しいです( ̄▽ ̄)
それに、窓は壁に比べて、同じ面積であれば倍以上の熱が逃げてしまう箇所でもあります。まあ、開け閉め出来るし、ガラスだし、で当たり前ですけどね。。。なので、家全体のウチ、夏で70%程度、冬で40%の熱が窓から出たり入ったりしてしまいます。窓の性能は大切(^O^)
これらの求められるモノに対して、比較検証をしていきましょう!
YKKAP「APW330」特徴
メリット
結論から言うと
- 断熱性能が高い(熱を伝えづらい)
- 気密性能が高い(隙間が少ない)
- (だから)結露しづらい
これが樹脂窓の特徴です!
写真の通り、枠(フレーム)部分は基本的に、熱の伝わりづらい樹脂素材を使用することで、室内外の熱の出入りを抑えて、高断熱を実現した窓です。
そして、ガラスはLOW-E複層ガラスを採用していますが、ガラスはどの素材のサッシでも組み合わせ可能ですので、同じです。(※トリプルガラスは、組み合わせが限られるので、注意!)
樹脂は、アルミの1000倍熱を伝えづらいと言う性質を持っています。そのため、樹脂のみで構成されたAPW330の断熱性はハイブリッドサッシに比べて高いと言えます。また、樹脂の性質上、気密性(窓の隙間)も少なくなります。
熱を伝えづらいと言うことは、結露の発生も抑えることが出来ます。
つまり、樹脂窓のメリットは、断熱性能が高い!!と言う一言につきます。
また、通常の窓(サッシ)は、フレームを組み立てパッキンを使ってガラスを嵌め込む構造になっていますが、APWはガラスとフレーム(枠)を接着していますので、余分な隙間や部材が少なくて済むので、お掃除が楽というメリットもあります!
デメリット
これは樹脂の特製の逆です!
樹脂はアルミより
- 熱を伝えづらい(断熱性)
- 強度が弱い(割れ)→台風
- 熱に弱い(変形)→猛暑
- 耐候性が落ちる(退色)→紫外線
と言う問題があります。もちろん、樹脂窓と言うのは、APW330が発売される前から、北海道や東北の寒冷地域において使用されているので、性能的に問題があると言う訳ではありません。ただ、アルミの複合サッシは外側がアルミなので、アルミと素材として比べたらというお話になります。
1.熱を伝えづらい(断熱性)
これが、樹脂サッシを採用する意味と言っても過言ではありません。
断熱性能を測る基準として、熱貫流率という値があります。これは、「部屋の内外の温度差が1度の時、1㎡当たり、1時間で熱がどれだけ移動するか?」という値を数値化したものです。小難しいので、数字が小さい程、断熱性能が高いと思ってもらえれば良いです!
APW330(ペアガラス・アルゴンガス入り・樹脂スペーサー)という条件の元で
1.31w/㎡K という性能となります。
一般的な、アルミ樹脂複合サッシでは2.33w/㎡Kという値になりますので、その性能の良さが分かっていただけるかと思います。(YKK「エピソードネオ」、LIXIL「サーモスⅡ−H」などの基準の値)
2.強度が弱い(割れ)
強度については、なかなか数値で示すことは難しいですが、アルミと樹脂ではどちらが強いかはイメージして頂けるかと思います。
通常の生活をしていて、割れることはないかと思いますが、「地震が発生した時」や「大きな台風が来た時」に家の歪みや物が飛んできて当たって割れたと言ったことは十分に考えられます。
まるで囲ったような部分は、溶着(溶かして引っ付ける)て製造されています。過度な歪みや力が掛かるとパンっと爆ぜる可能性もないことはないです。
ちなみに、「溶かして引っ付ける」「パテを盛って、削り出す」と言った形で補修することは可能です。ただ、一度割れたところは、更に強度不安が・・・(T ^ T)
3.熱に弱い(変形)
それこそ、これは素材として比較した場合ですので、気にしなくてOKです!
アルミの融解温度が600度程度に対して、樹脂が90度程度ということだそうですが、まあ、いくら直射日光が当たっても90度に達することはないでしょう!
耐候性が落ちる
色褪せに関してですが、これは樹脂サッシに限ったことではありません。アルミサッシでも、劣化による色褪せや腐食をするので、樹脂だけが問題という訳ではありません。
ですが、これまで採用実績のある北海道よりも日照時間の長いエリアに置いては、もう少し差が顕著に出るのではないかと思います。
ちなみに、北海道では、サッシを外壁と一緒に塗り替えるなんてこともするらしいです!
その他
メリットでご紹介した、ガラスと枠が接着されてお掃除がしやすいという反面、ガラスが割れた場合はフレームごと交換ということになります!通常は、ガラスだけ交換出来ます。
ガラスは、納期そんなにかかりませんが、フレームごととなるとそこそこ掛かるので、少し不便ですね・・・ただ、窓が割れることは、そんなにないかと思います。
あくまで、比較するとと言う話です(^O^)
APW330まとめ
- 断熱性能が良い
- 気密性が良い
- 結露しづらい
断熱性能を求めるための窓!
LIXIL「サーモスX」の特徴
こちらは、LIXIL社製のハイブリッドサッシでペアガラス・トリプルガラス共に同じサッシで、入れ流ことが出来るようになっています。「APW330」の特徴でも記載しましたが、ガラスは基本的に同様のものが選択可能なので、比較には入れません。が、一応ペアガラス仕様が前提となります。
メリット
結論としては、「樹脂サッシの逆+α」です。
- 強度が強い
- 熱に強い
- 耐候性が高い
- 断熱性は樹脂程ではないが、近い性能値が出る
- ガラス面積が大きい(眺望性)
1.強度が強い、2.熱に強い、3.耐候性が高い
この3つは、全て外側がアルミで出来ているからです( ̄▽ ̄)
上の図の赤○で囲んだ、茶色の木目部分(濃い薄いありますけど)が樹脂で出来たパーツ。
外側のシルバーの部分がアルミパーツとなっています。外側の外気に触れる部分がアルミで、内側に面している部分が樹脂で出来ています。中にハマっているガラスの枠も同じです。
これにより、強度の必要な外側をアルミ、断熱性を強化したい内側を樹脂にすることで、断熱をしながら強度を確保しています。
4.断熱性も樹脂程ではないが、近い数値が出る
右が従来型のアルミ樹脂複合サッシ「サーモスH」。それに対して、左側が高性能ハイブリッドサッシ「サーモスX」ということで、樹脂を使っている分量が全く違うことと、樹脂で囲われた部屋の数が圧倒的に多いことがわかります。
これにより、従来のアルミ樹脂複合サッシに比べて、圧倒的に良い性能が出ます!
熱貫流率で1.52w/㎡K 先ほどのAPWの1.31w/㎡Kには劣りますが、従来アルミ樹脂複合サッシの2.33という数値よりも樹脂に近い数値を実現しています。
眺望性と見た目
樹脂に比べてアルミは強度が高い。逆を返すと樹脂は強度が低いので、どうしても枠を太くしないとガラスや自重を支えることが出来なくなるため、ボテっとしたシルエットになります。
これは、正直極端な例ですが、細長い窓や小さな窓になるとその差が顕著になります。
見た目なので、好き好きですが、「細くてスタイリッシュ」か「太くて重厚感がある」かと考えることも出来ると思います。
枠が細くなることにより、ガラス面積が同じサイズのサッシでも大きくなるため、光が入る量も増えるし、眺望性も良くなります!まあ、カーテンしてるから一緒と言えば、一緒ですね・・・( ̄▽ ̄)
まあ、LIXILHPより引用していますので、カッコよさげに見えるかとは思います!
比較のまとめ
樹脂サッシを選ぶか、ハイブリッドサッシを選ぶかという問題は、「断熱性に特化するのか」「耐久性も重視したバランス型にするのか」ということにです。
やっぱり暖かい家に住みたい!寒さは万病の元。断熱性を追求して「APW330」
外側まで樹脂だと、強度が心配。断熱性も従来より良くなった「サーモスX」が安心!
で選ぶことになると思います。
要は、ご自宅を建てる時に、何を一番重視するのか!?ということで選択肢が変わってきます。
リクやん家の場合
我が家は、「サーモスX」を採用しました(^O^)/
理由は、簡単!「断熱性が高くても、壊れたら意味がない!長持ちするヤツが良い!」です(^O^)/
正直、樹脂サッシが簡単に壊れるなんて思っていません。だけど、本州で樹脂サッシが採用され始めて、ましてや中部地区で採用され始めてまだ10年経っていません。そして、サッシが傾いて網戸が閉まらなくなったや、角の部分が爆ぜたなどのお話も良く聞きます。漏水や断熱性能に関わる程の物ではないと聞きますが・・・。
色々ありますが、根拠がないのです・・・そして、ほとんどのハウスメーカー(一条・スウェーデンHなどを除く)では、樹脂サッシを採用していません。
だから、実績があって安心のハイブリッドサッシにしました!
ちなみに、高気密高断熱住宅 UA値:0.44、C値:0.24 の我が家に、サーモスX LOW-EPG
アルゴンガス入り 樹脂スペーサーがついていますが、結露もしません。窓辺も寒くありません。
快適に過ごしていますよ(^O^)/
※結露は断熱性に関わらず、温度と水蒸気量と換気状況で、どんなサッシでも発生しますのでご注意下さい。結露が気になる方は、下記記事をご確認ください。
是非参考にして下さい。